インフルエンザワクチン
不活化ワクチンが使われているインフルエンザワクチンは、毒性を消し、予防に必要な成分だけを使って作られていますから、副反応が少なくなります。
体内にウイルスが侵入するわけではないので、当然ウイルスが増殖することもありません。つまり、おなかの赤ちゃんにワクチンが悪影響を与える可能性も極めて低いと言えるわけです。
さらに、以前よりも副反応が少なくなった改良型のインフルエンザHAワクチンというものが使われているので、より安心できるようになりました。
ただし妊娠16週頃までの妊娠初期は、胎児の状態が不安定なので、一般的には予防接種を避ける傾向にあります。妊娠初期における予防接種で、流産の確率が高まるとの報告があるわけではないのですが、明らかに安全に近づく妊娠中期まで待って接種することが望ましいとは言えます。
その間、もし流行の真っ只中であったり、大勢の人との接触が避けられなかったりする場合など、妊娠初期でも予防接種が勧められる場合もあります。
そうした際には、感染リスクと予防接種のリスクを天秤にかけて判断する必要が出てきます。妊娠初期の予防接種で迷われている場合は、妊娠週数を告げてご相談ください。
風疹ワクチン
風疹は風疹ウイルスによって起こる全身疾患で、症状としては発熱と発疹、リンパ節の腫れなどが特徴的です。成人が風疹に罹ると、高熱が続き、関節の痛みも生じ、一般に子どもより症状が強く出ます。なかでも問題になるのは、妊婦への感染です。妊娠初期に母体が風疹に感染すると胎児にも感染が及び、生まれてきた赤ちゃんに、白内障、先天性心疾患、難聴、発達遅延などが見られる可能性があります(先天性風疹症候群)。妊娠可能な女性とそのパートナーには、妊娠前の接種をお勧めいたします。
子宮頸がんワクチン
子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが関わっています。このウイルスは、子宮頸がんの患者の90%以上で見つかることが知られており、HPVが長期にわたり感染することで、がんになると考えられています。HPVは一般に性行為を介して感染することが知られています。
子宮頸がんの予防法としては、子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルスの感染を予防することが挙げられます。
子宮頸がん予防ワクチンの接種後に見られる主な副反応としては、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが挙げられます。
実際に予防接種を受ける際は、ご相談になって、ワクチンの有効性とリスクを十分にご理解いただいた上で、お受けになるかどうかをご判断ください。